AV女優「渡辺まお」の身バレが起きたとき、私が思った本当のこと【神野藍】連載「私をほどく」第3回
神野藍「 私 を ほ ど く 」 〜 AV女優「渡辺まお」回顧録 〜連載第3回
■「身バレ」が起こったとき、私が思った本当のこと
これを読んでいるあなたに聞いてみたいのだが、ネットに巣くう魔物たちに面白おかしくおもちゃにされたら、どういう気持ちになるのだろうか。名前、誕生日、在籍している大学、実家の住所、その他諸々流出した上に、赤の他人が何も知らないのに勝手に善悪のジャッジをしてくる、そんな状況だ。きっとごく普通の安定した精神状況を保つことは不可能だろう。私も内心はそうだった。傷ついてないわけなかった。夜中目をつぶった後に何も考えないように睡眠薬で無理やり意識を失わせていた。そんな状況下であっても、マネージャーやメーカー、その他大勢の前では、
「え!大丈夫ですよ。メンタル強いので。むしろこうやって話題になって作品が売れてくれたので凄く嬉しいです。」
とだけ話していた。ここまで盛大な身バレが起こると、多くの場合ひっそりと引退するものだ。もちろん周りの大人たちが心配していたのは、私の精神状態よりも、お金を稼ぐことができる道具がいなくなるかもしれないということなのは理解していた。ビジネスだからしょうがない。残酷かもしれないが、商品として扱われる以上は売れる女優が正義で正解なのだ。周囲の大人たちは何も悪くない。
ただ本当のことを言うならば、もっと守られたかった。「強いね」よりも「何とかするよ」と誰かに言われたかった。
(第4回へつづく)
文:神野藍
※毎週金曜日、午前8時に配信予定